分解能の公式と、それぞれの適用場面
| 限界 | 計算式 | 用途 |
|---|---|---|
| Abbe | d = 波長 ÷(2 × NA) | 対物レンズが通す最も細かい周期構造 |
| Rayleigh | r = 0.61 × 波長 ÷ NA | 2 つの点光源。対物レンズとコンデンサーが一致している場合(または蛍光) |
| コンデンサーを使った明視野 | r = 1.22 × 波長 ÷(NAobj + NAcond) | コンデンサーの NA が対物レンズより低い場合の透過光 |
| 軸方向、広視野 | z ≈ 2 × 波長 × n ÷ NA² | 広視野画像でどれだけ薄い層を分離できるか |
| 共焦点、小さいピンホール | 横方向 0.37 × 波長 ÷ NA、軸方向 0.64 × 波長 ÷(n − √(n² − NA²)) | ピンホールが 0.25 エアリー単位未満の場合の FWHM(Zeiss) |
波長は、広視野蛍光では蛍光(発光)波長、共焦点では励起波長と蛍光波長の平均を指します。NA は対物レンズの開口数、n は液浸媒体の屈折率です。倍率はどこにも出てきません。倍率が決めるのは構造がどれだけ大きく見えるかであって、分解されるかどうかではないからです。これらは理論上の最良値です。コンデンサーの調整不良、低コントラスト、厚い試料、屈折率の不一致は、いずれも実際の分解能を悪化させます。
計算例:蛍光波長 520 nm と NA 1.4 の油浸対物レンズ:Rayleigh 0.61 × 520 ÷ 1.4 = 227 nm、Abbe 520 ÷ 2.8 = 186 nm、軸方向は約 2 × 520 × 1.518 ÷ 1.96 = 805 nm。
Nyquist サンプリング:ピクセルをどこまで小さくする必要があるか
光学系が分解する構造を記録するには、試料面でのピクセルサイズを、分解できる最小周期の半分以下にする必要があります。SVI の Nyquist に関する資料では、臨界サンプリング距離を広視野で蛍光波長 ÷(4 × NA)、共焦点で励起波長 ÷(8 × NA)としています。多くの施設では、安全マージンを取って単純に分解能を 2.3 で割っています。ピクセルが大きすぎると細部は失われたままになり(アンダーサンプリング)、逆に小さすぎても、デコンボリューションを行う予定がない限り、光量、時間、ディスク容量を消費するだけです。
実際のピクセルサイズはピクセルサイズ計算ツールで確認してください。60× の対物レンズの後ろにある 6.5 µm のカメラピクセルは試料面で 108 nm となり、NA 1.4 で 520 nm の光(Nyquist 93 nm)をわずかに粗くサンプリングすることになります。
開口数
NA = n × sin(半角)
半角とは、対物レンズが受け入れる光円錐の開き角の半分で、n はカバーガラスと先端レンズの間の屈折率です。空気中では NA は 1 に達せず、実際の乾燥系対物レンズは約 0.95 が上限です。水浸では約 1.27、シリコーンオイルでは約 1.35、油浸では約 1.4〜1.49 に達します。対物レンズの NA は倍率の後に刻印されています(例:「60×/1.40 Oil」)。
被写界深度(MicroscopyU):d = 波長 × n ÷ NA² + n × e ÷(M × NA)。e は検出器が分解できる最小距離(おおよそカメラの 1 ピクセル)、M は対物レンズの倍率です。高 NA の対物レンズは被写界深度が非常に浅いため、厚い切片には Z スタックが必要になります。
質問
光学顕微鏡の分解能はどのくらいですか?
可視光で高 NA の油浸対物レンズを使った場合、横方向で約 200〜250 nm(Rayleigh の基準で 0.61 × 520 nm ÷ 1.4 ≈ 227 nm)、光軸方向でおよそ 500〜800 nm です。
Abbe の限界と Rayleigh の限界の違いは何ですか?
Abbe(波長 ÷ 2NA)は対物レンズが伝えられる最も細かい周期構造、Rayleigh(0.61 × 波長 ÷ NA)は 2 つの点光源をかろうじて区別できる距離です。どちらも 波長 ÷ NA に比例し、Rayleigh のほうが控えめな値になります。
開口数はどう計算しますか?
NA = n × sin(半角)。n は液浸媒体の屈折率、半角は光円錐の開き角の半分です。半角 64° の光を受け入れる乾燥系対物レンズの NA は sin 64° ≈ 0.90 です。
Nyquist サンプリングにはどのくらいのピクセルサイズが必要ですか?
試料面で、広視野では 波長 ÷(4 × NA)以下(蛍光波長)、共焦点では 波長 ÷(8 × NA)以下(励起波長)です。520 nm、NA 1.4 の場合、約 93 nm(広視野)または 46 nm(共焦点)になります。
倍率を上げると分解能は良くなりますか?
いいえ。分解能は NA と波長で決まります。NA を上げずに倍率だけを上げても、同じぼけが拡大されるだけです("空倍率")。
この計算ツールは無料ですか?
はい。ブラウザー内で動作し、どこにもデータを送信しません。同じチームが開発したデスクトップ顕微鏡アプリ SlideScope は、無料のサンプルライブラリ(全ツール利用可)が付属する有料アプリで、ご自身の画像にはサブスクリプションが必要です。
出典
- Nikon MicroscopyU — Resolution
- Nikon MicroscopyU — Depth of field and depth of focus
- ZEISS — Basics of confocal laser scanning microscopy(Wilhelm)
- SVI Huygens — The Nyquist rate
結果は理論値または計算値です。臨床業務や規制対象の業務で用いる前に、お使いの機器の資料と照らし合わせて確認してください。
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